過眠症

過眠症とは

過眠症は、夜にある程度眠っているはずなのに、日中に強い眠気が続き、起きていることがつらくなる状態をいいます。

  • 授業や会議中にどうしても眠ってしまう
  • 電車の中だけでなく、じっとしているとすぐ眠くなる
  • しっかり寝たはずなのに、日中の眠気が取れない

といった形で現れ、仕事・学業・運転・日常生活に支障が出てきます。
夜更かしや睡眠不足による「単なる寝不足」のこともあれば、ナルコレプシーや特発性過眠症などの「中枢性過眠症」が隠れている場合、うつ病などのこころの病気、睡眠時無呼吸症候群など身体の病気が背景にある場合もあります。

過眠症の原因

日中の強い眠気の原因はさまざまです。大きく分けると次のようなものがあります。

  • 睡眠不足・生活リズムの乱れ
    夜更かし、長時間労働、不規則な勤務(シフト・当直など)、休日の寝だめなど。
  • こころの病気に伴う眠気
    うつ病・双極性障害・不安症などでは、日中のだるさや眠気が強くなることがあります。服用中の薬が眠気を強めているケースもあります。
  • 睡眠時無呼吸症候群など身体の病気
    いびきが強い、呼吸が止まっていると言われる場合、夜間の睡眠が細切れになり、その結果として日中の眠気が出ます。
  • 中枢性過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症など)
    夜間睡眠を十分とっていても、脳の目覚め・睡眠の制御の仕組みの問題により、日中の眠気が過剰になる病気です。突然眠り込んでしまう、居眠りが非常に起こりやすいといった特徴があります。

当院では、問診を通じてこれらの可能性を整理し、生活習慣・こころの状態・内科的な病気・中枢性過眠症の可能性を総合的に評価していきます。

なお、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)などの専門的検査は当院では実施しておらず、確定診断は連携先の睡眠専門医療機関で受けていただく必要があります。

過眠症の症状

日中の眠気

  • 授業・会議・運転中など、「寝てはいけない場面」でも強い眠気が突然押し寄せる
  • しっかり寝ているつもりでも、日中いつも眠い・だるい
  • 座っているとすぐにうとうとしてしまう
  • 昼寝をしてもスッキリせず、またすぐ眠くなる

ナルコレプシーなどでみられる症状(例)

  • 大笑い・驚き・怒りなどの強い感情をきっかけに、力が抜けるような感覚が出る(カタプレキシー)
  • 入眠時・覚醒時に金縛りが多い
  • 眠りに入る前後に、リアルな幻覚のような体験をする

日常生活への影響

  • 勉強・仕事に集中できず、評価や成績が落ちやすい
  • 居眠りを注意されることが続き、自己評価が下がる
  • 運転中の眠気が危険につながる
  • 周囲から「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすい

「夜はそれなりに寝ているのに、日中の眠気が明らかに強く、生活に支障が出ている」場合、過眠症の評価が必要になります。

過眠症の治療方法

当院では、原因の整理 → 生活・睡眠リズムの調整 → 必要に応じて薬物療法・専門機関との連携という流れで、過眠の治療を進めていきます。

睡眠習慣・生活リズムの見直し

まず本当に「睡眠時間が足りているか」「質が取れているか」を一緒に確認します。

  • 就寝・起床時間が日によって大きく違っていないか
  • 平日と休日の睡眠時間の差
  • 深夜までのスマホ・PC・ゲーム
  • カフェインやアルコールの摂取

などを整理し、まずは「単純な睡眠不足」「リズムの乱れ」から整えることを目指します。

これだけで改善する場合もあれば、「睡眠不足を解消しても眠気が強く残る」場合、より専門的な評価が必要になります。

こころ・身体の病気の評価と治療

うつ病・不安症・双極性障害などが背景にあれば、その治療を行うことで眠気が改善することがあります。
また、服用中の薬による眠気が疑われる場合には、可能な範囲で薬の調整を検討します。

いびき・呼吸停止・就寝中の窒息感などが強い場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考慮し、内科や睡眠専門外来での検査をおすすめすることがあります。

中枢性過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症など)が疑われる場合

夜間の睡眠時間を確保してもなお強い眠気が続き、ナルコレプシーや特発性過眠症が疑われる場合には、睡眠専門医療機関での検査(PSG・MSLTなど)による確定診断が必要になります。

当院では、問診や経過から中枢性過眠症が疑われる場合、連携先・地域の睡眠専門医療機関をご紹介し、そちらで検査・診断を受けていただきます。

診断がついた場合には、

  • 日中の居眠りを短く計画的にとる
  • 危険な場面での活動(車の運転など)について調整する
  • 学校・職場と情報を共有し、必要な配慮を相談する

といった生活・環境面での調整が非常に重要になります。

薬物療法(覚醒維持薬など)

日中の眠気が強く、生活や仕事に大きな支障がある場合には、薬による治療を検討します。

モディオダール®(モダフィニル) などの薬は、

  • ナルコレプシー
  • 睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過剰な眠気

などに対して、日中の覚醒度を高める目的で使われる薬です。

当院では、終夜睡眠ポリグラフ検査・MSLTなどを含む検査を行ったうえで、他の医療機関でナルコレプシー・特発性過眠症などの診断が確定している方を対象に、その結果を共有していただいたうえで、モディオダールの処方を検討します。

つまり、当院単独で検査を行わずに、過眠の訴えだけでモディオダールを新たに開始することはしていません。
また、

  • 十分な睡眠時間が確保できているか
  • うつ病・双極性障害など、他のこころの病気との関係
  • 睡眠時無呼吸症候群など、他の身体疾患の治療が行われているか

といった点も確認し、生活リズムの調整や環境整備と組み合わせて使用することを前提とします。

 

最後に

「眠いだけ」と軽く扱われがちですが、日中の強い眠気は、仕事・学業・安全運転・人間関係すべてに影響する重大な問題です。
周囲からは「怠けている」「やる気の問題」と誤解されがちで、そのこと自体がつらさを増やしている方も少なくありません。

夜間の睡眠を整えてもなお眠気が強い場合や、学校・職場・運転などに明らかな支障が出ている場合には、一度きちんと評価を受ける価値があります。
当院では、問診に基づく原因の整理と生活調整を行い、必要に応じて睡眠専門医療機関への紹介や、他院で確定診断を受けている方に対するモディオダール®を含む薬物療法も検討しながら、現実的な対策を一緒に考えていきます。

よくある質問

ただの寝不足と、病気としての過眠症はどう違いますか?

一番大きな違いは、
「十分な睡眠時間をとっても、日中の眠気が強く残るかどうか」
です。
睡眠時間をしっかり確保しても眠気が続く場合、
・うつ病などこころの病気
・睡眠時無呼吸症候群など身体の病気
・ナルコレプシー・特発性過眠症など中枢性過眠症
の可能性を考えます。
単なる生活リズムの乱れでは説明できない場合には、一度ご相談ください。

過眠と「うつのだるさ」はどうやって見分けるのですか?

うつ病では、
・気分の落ち込み
・意欲の低下
・何をしても楽しくない
といった症状が中心で、「横になっていたい」「何もしたくない」という感覚が強くなります。
過眠症では、
・眠気が急に高まってくる
・短時間眠ると一時的にスッキリする
といった特徴がみられることが多いです。
ただし、両方が重なっているケースもあるため、問診で丁寧に区別していくことが大切です。