うつ病

うつ病とは

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障が出ている状態を指します。
脳には気分や意欲を保つ仕組みがありますが、そのバランスが崩れることで、気分の落ち込みや無気力な状態が長く続いてしまうのがうつ病です。
日本では、生涯のどこかでうつ病になる人は、およそ100人に5〜7人程度とされており、決して珍しい病気ではありません。

うつ病の原因

うつ病の原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。

  • もともとの体質・遺伝的な影響
    うつ病になりやすさには、ある程度「生まれ持った傾向」が関わることが分かっています。
  • 脳の働きの変化
    セロトニンやノルアドレナリンなど、気分や意欲に関わる神経伝達物質のバランスが崩れ、脳全体の活動が低下していることが知られています。
  • ストレスや環境の要因
    仕事・人間関係・病気・喪失体験など、強いストレスが続くと、脳や心のエネルギーが消耗し、うつ病を引き起こしやすくなります。
  • 生活リズム・睡眠の乱れ
    睡眠不足・夜型生活・不規則な勤務なども、うつ病の発症・悪化に関わります。

多くの場合、「ストレスのかかり方」「もともとの体質」「その時の体調や睡眠」などが組み合わさってうつ病が起こると考えられます。

うつ病の症状

気分・考え方の変化

  • 何をしても楽しくない、興味がわかない
  • 強い悲しさ・虚しさ・不安が続く
  • 「自分は価値がない」「迷惑をかけている」と自分を責めてしまう
  • 将来に対して極端に悲観的になる
  • 死について考える時間が増える

行動・意欲の低下

  • 仕事や家事・勉強に手がつかない
  • 身支度や片付けが大きな負担に感じられる
  • 人に会うことがつらくなり、引きこもりがちになる

からだの症状

  • 寝つきが悪い・夜中や早朝に目が覚める/逆に眠りすぎてしまう
  • 食欲の低下・体重減少/逆に間食や甘いものが増える
  • 体が重い・だるい・疲れが取れない
  • 頭痛・肩こり・動悸・胃の不快感など、検査をしても原因がはっきりしにくい体の症状

こうした状態が「気持ちの問題」ではなく、数週間以上続いて日常生活に支障が出ているとき、うつ病の可能性があります。

うつ病の治療方法

休養・生活リズムの調整

まずは「しっかり休むこと」が治療の土台になります。仕事や家事の負担を一時的に減らし、睡眠・食事・生活リズムを整えるところから始めます。

薬物療法(抗うつ薬など)

抗うつ薬を使い、脳内の神経伝達物質のバランスを整えます。効果が出るまで数週間かかることが多く、副作用を確認しながら、少しずつ量や種類を調整します。

精神療法・カウンセリング

気分が落ち込むきっかけや、考え方のクセ、ストレスとの付き合い方を一緒に整理します。必要に応じて、認知行動療法などの方法を取り入れ、再発しにくい心の土台作りを目指します。

再発予防と継続的なサポート

症状が良くなってからもしばらく治療を続けることで、再発を防ぎやすくなります。症状の変化に応じて、薬の調整や通院間隔を相談しながら、一人ひとりのペースに合わせて治療を進めていきます。

最後に

うつ病は「心が弱いからなる病気」ではなく、誰にでも起こりうる病気です。
一人で無理を重ねてしまうほど、回復に時間がかかることもあります。「少しおかしいかな」「このまま続くのはつらいな」と感じた時点で、早めに相談していただくことが大切です。
当院では、現在の状況やお気持ちを伺いながら、一緒に無理のない治療方針を考えていきます。

よくある質問

抑うつ状態と言われたけど、うつ病との違いは?

「抑うつ状態」は、気分の落ち込みや意欲低下などの「状態」を幅広く指す言葉で、診断名そのものではありません。一方で「うつ病」は、症状の強さや続いている期間、生活や仕事・学業への影響などを総合して、診断基準を満たした場合につく病名です。
簡単にいうと、
抑うつ状態:落ち込んでいる「状態」の説明
うつ病:医師が診断基準に基づいて判断する「病名」
というイメージです。

適応障害とうつ病の違いは?

適切な治療と休養を行うことで、多くの方は回復していきます。ただし、良くなるまでにはある程度の時間がかかり、波を繰り返しながら少しずつ回復していくことが多いです。
中には再発する方もいますが、早めの受診や、再発予防を意識した治療(生活リズムの調整、ストレス対処の相談、薬の継続など)によって、「重くならないうちに対処する」ことが可能になります。

うつ病は治るの?

適応障害は、仕事の変化や人間関係のトラブルなど、はっきりしたストレスがきっかけで気分の落ち込みや不安が出ている状態です。ストレスの元から離れたり、環境や対処の仕方を整えたりすることで、良くなりやすいとされています。
うつ病は、きっかけがはっきりしないことも多く、もともとの体質や脳の働き方の影響が大きいタイプの落ち込みです。環境を変えても強い落ち込みや無気力が続き、生活に大きな支障が出ることがあります。

薬を飲み始めたらやめられない?依存性があるの?

一般的に、抗うつ薬に「やめられなくなる意味での依存性」はありません。飲み続けたくて仕方がない、といったタイプの依存を起こす薬ではありません。
ただし、急に自己判断で中止すると、めまい・しびれ感・不眠などの「やめ方による症状(離脱症状)」が出ることがあります。そのため、多くの場合は症状の経過を見ながら、医師と相談して少しずつ減らしていきます。
「一度飲み始めたら一生やめられない」というものではありませんので、ご不安な点は診察の中で遠慮なくご相談ください。